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現代人への金言【人間は考える葦である】やりたいことがない自分に悩むあなたへ

「やりたいことがない」「何を目指して生きればいいのかわからない」——そんな悩みを抱えている人は、決して少なくありません。就職や進路、日々の仕事に追われる中で、「自分は何者なのか」「何をすべきなのか」と自問自答し続け、立ち止まってしまうことがあります。

そんな現代人に、17世紀の哲学者パスカルが遺した一つの言葉を贈りたいと思います。

「人間は考える葦である」

この言葉は、何も持っていないように思える自分自身を、もう一度見つめ直すヒントになります。

「人間は考える葦である」(L'homme est un roseau pensant.)

この言葉は、フランスの哲学者・数学者であるブレーズ・パスカルの著書『パンセ』に記された名言です。

人間は自然の中で最も弱い存在、「葦」のように風に揺れ、簡単に折れてしまう。 しかし、その人間には「考える力」がある。そこにこそ、人間の尊厳と偉大さがある——

つまり、「人間は小さく、儚い存在ではあるが、思索する存在であることによって価値がある」ということ。

これを、今の私たちの悩みに置き換えてみましょう。

世の中には、やりたいことが明確で、目標に向かってまっすぐに進んでいける人もいます。ですが、すべての人がそうではありません。

・何をしたらいいかわからない ・周りと比べて自分は遅れている気がする ・やりたい仕事がない ・自分には何もない気がする

そんな風に感じているあなたへ。

「それでも、あなたは“考えている”じゃないですか。」

何も見つかっていないようでいて、あなたは問いを持っています。迷い、悩み、自分を見つめている。

それこそが、パスカルの言う「人間の価値」なのです。

悩みがあるということは、現状に満足していないということ。つまり、「もっとよく生きたい」「もっと納得できる人生を歩みたい」と考えているということです。

これは、実はすごく尊いことです。

「これでいいや」と思ってしまえば、そこから考えることをやめてしまいます。 「自分は何がしたいのか?」と自問し続けることこそ、人間らしさそのものです。

だから、焦らなくていいのです。

今、あなたがしている「考える」という行為自体が、すでに大きな価値を持っています。

SNSやネット記事を見ると、「これが正解」「この仕事が将来性ある」といった情報にあふれています。

でも、他人の“正解”が、あなたの“正解”とは限りません。

パスカルの言葉は、そんな情報の波に飲まれてしまいそうなとき、足元を見つめ直させてくれます。

弱くてもいい。未熟でもいい。何者かになっていなくてもいい。

ただ、考え続けることができる限り、あなたは立派な“人間”なのです。

哲学や人生論は、実は“実用的”なものではないかもしれません。けれど、心の深い部分で私たちを支えてくれるものです。

「考えること」をやめずにいる——それがあなた自身の価値であり、いつか“やりたいこと”や“歩む道”を照らす光になります。

焦らず、周りと比べすぎず、今日も自分と静かに向き合ってみてください。

あなたの「問い」は、きっとあなた自身を育ててくれます。

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