教育

将棋は賢くなるって本当?先を読む力・集中力・地頭への影響をやさしく解説

「将棋って、頭が良くなりそう」
そんなイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。特に最近では、子どもに将棋を習わせようと考える保護者も増えており、「地頭が良くなるのでは?」「先を読む力が鍛えられるのでは?」といった期待が寄せられています。

一方で、「本当に賢くなるの?」と疑問を持つ声もあるのが事実です。この記事では、将棋が脳や思考に与える影響を中心に、子どもの教育的効果にも触れながら詳しく解説していきます。

将棋は、一手ずつ交互に指しながら、相手の王を詰ませることを目指す対戦型のボードゲームです。しかし、単なるゲームにとどまらず、脳のさまざまな機能をフル活用する知的活動でもあります。

  • 前頭前野:思考・判断・抑制・創造力などをつかさどる領域
  • 海馬:記憶力や空間把握に関与
  • ワーキングメモリ:複数の情報を一時的に保持・処理する能力

将棋では、今の局面だけでなく、何手も先の展開を同時に考え、相手の手を読みながら最善手を選び続けます。このプロセスが論理的思考力や記憶力、集中力を自然に鍛えていくのです。

実際に、東大や京大などの難関大学の合格者の中には、幼少期に将棋を経験していたという人も少なくありません。

将棋では、「この手を指すと相手はどうくるか」「もしこうきたら自分はこう返す」といった仮説と検証の繰り返しが必要です。

これは、理系的な思考力やプログラミング的思考にも通じる能力であり、将棋を通じて自然に「筋道を立てて考える力」が養われます。

1局の対局は30分から数時間に及ぶこともあります。その間、ひたすら盤面を見つめて考え続ける必要があり、集中力の持続ミスをしない冷静さが求められます。

また、負けが続いたときの心のコントロールや、冷静に立て直す力も育まれます。

将棋は必ず勝者と敗者が決まります。負けたとき、「なぜこの手を指してしまったのか」「どこで流れが変わったのか」といった自己分析の習慣が自然と身につきます。

この「振り返り」の文化が、学習や仕事においても非常に重要なスキルになります。

最近よく使われる「地頭(じあたま)」という言葉。これは、知識量ではなく、「その場で考えて理解し、応用する力」を意味することが多いです。

将棋は、毎回違う局面で判断を迫られるため、正解のない中で最善手を考える訓練になります。

  • ルールは一定、でも毎回盤面は違う
  • 過去の経験を活かしつつ、臨機応変に対応
  • 「あのときと似てるけど少し違う」場面で、どう動くかを考える

こうした体験の積み重ねは、まさに「地頭」を鍛える上で非常に有効です。

子どもに将棋を習わせることには、以下のような教育的メリットがあります。

  • 考える習慣が身につく
  • 人との礼儀(あいさつ・対局マナー)を学べる
  • 勝ち負けを受け入れる心が育つ
  • 失敗を振り返り、成長に変える姿勢が養われる

また、将棋教室では年齢差のある子ども同士で対局することも多く、コミュニケーション力や社会性も自然と身につきます。

ただし、強制的にやらせるのではなく、子どもが「楽しい」と感じることが前提です。「負けて悔しい」「もっと強くなりたい」と思える経験が、将棋の学びを深めてくれます。

「将棋をすれば成績が上がる」と期待される方もいますが、これは少し注意が必要です。

将棋は**考える力や集中力は鍛えられますが、直接的に学力が上がるとは限りません。**特に暗記が中心の科目では、成果がすぐに見えにくいかもしれません。

ただし、将棋で培った「思考力」「粘り強さ」「失敗からの学び」は、長期的にはすべての学習の土台になります。

「将棋が勉強にどう役立つか?」というより、「考える習慣を身につける場」として位置づけるとよいでしょう。

将棋は、ただのゲームではありません。
論理的に考える力、集中力、感情のコントロール、自己分析――これらを楽しく、そして実践的に鍛えることができる知的トレーニングツールです。

子どもにとっても、大人にとっても、「将棋が強い=頭がいい」ではなく、「将棋に向き合う姿勢」が、結果として思考力を育てていくという視点で捉えるとよいのではないでしょうか。

将棋に少しでも興味があるなら、始めてみる価値は十分にあります。親子で楽しめば、学びの時間にも、かけがえのないコミュニケーションの場にもなるはずです。

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